Q & A 

教室に初めておいでになる保護者の方からのご質問や指導で大切にしているポイントをQ&A形式でまとめました。なお、毎日の取り組みや書写指導などについて考えていること、お子様の頑張る様子、連絡については、Facebookやnote、LINE等を通じてお知らせします。

鉛筆の持ち方は

なおるのですか?

「親が言っても、なかなか鉛筆を正しく持てない。なおりますか?」

 どなたでも、一度はこんな不安を持たれたことがあるのではないでしょうか。はしの持ち方にもつながる書写表現の基礎の基礎ですが、毎日の勉強が忙しくて持ち方をじっくりなおせない、なおすタイミングを逸してしまっているのが現状ではないでしょうか。

 当センターでは、お子様が楽しく、飽きずに、継続して持ち方を直していけるよう、お子様の学年、状況に合わせたサポートをいたします。

 特に小さなお子様には、筆や鉛筆を用いた楽しい遊びやお絵かきを通しながら、無理なく楽しく自然に改善できるよう工夫しています。

 焦らず、時にはそのお子様にあった目標を保護者の方と共有して進めることも大切だと考えます。

 美しい持ち方と美しい文字は、お子様に贈ることのできる一生の宝物

 それだけの価値があることだと、私たちは考えております。

 低学年の早い段階から、適切な持ち方を身につけさせてあげましょう。

↑当センター3年生の子の上手な持ち方

 小学校の早い段階で正しい持ち方ができるようにしたいものです。毛筆でも硬筆でもよりよい表現ができるようになります。

 理にかなった持ち方は、見ていてとても美しく、そして機能的です。

↑ 当センター3年生の男の子。字の練習と一緒に持ち方も練習を重ねてきました。柔らかい持ち方で、左手もきちんと使えています。これからさらに上手な持ち方になっていくことでしょう。

 プレゼントカードを作る前に、メッセージに書く字を練習していました。持ち方も上手です。きっとお父さんのことを考えながら書いているのでしょうね。

↑姿勢がきれい。持ち方と姿勢は深く関係しています。

 正しい持ち方ができるようになると、姿勢もよくなります。

↑正しい持ち方と同時に左手の使い方も指導します。毛筆でも硬筆でも左手の使い方はとても大切です。

 短冊のような小作品の場合でも、基礎技能は丁寧に指導します。

 ただし、いきなり手本なしで書けるほどの技能があるお子さんには、チャレンジとして手本なしの

 一発勝負で書いてもらうときもあります !(^^)! ファイト!

水書用筆って、何ですか?

 硬筆でも毛筆でも、持ち方を大切な上達のカギとして位置付けています。

 全国の小学校では、今の新しい書写の教科書になった際、1,2年生から水書用筆を使用した運筆の指導が指導内容として位置付けられました。

 力を入れずに柔らかく持ち、運筆することで「す」や「よ」などの結びも上手になります。力を加減して書く体験は、これからの毛筆にも硬筆にも生きるとても大切なポイントです。水書用筆は、余分な力の抜き方、正しい筆圧を学ぶのに適しています。水書用筆を用いた後に鉛筆で指導すると、字の字形にも変化が見られるようになります。持ち方を指導するのにも適しています。

 字が上手でも、持ち方がげんこつのような持ち方では、ちょっと残念ですね。

 小さいお子さんの場合、はじめから文字指導に入るとハードルが高くなりますので、さまざまな教具を段階的に用いながら、遊びを通して楽しくて正しい運筆、力加減を体験してもらえるようサポートしております。これは、大人の方にとっても大変有効な指導法であると感じています。

 まずは、入学段階に一度立ち返り、楽しく絵を描きながら、苦手意識を徐々に取り除き、ポイントを押さえて少しずつアドバイスをしていきます。さまざまな幼稚園や保育園、小学低学年や中学年のお子様に指導を重ねてまいりましたが、水書用筆を用いた指導をしていやがるお子さんをまだ見たことがありません。ただ、大切なのは水書用筆を使っていても、一人ひとりの書き方を見て適切に助言できるかどうかがカギになるように思います。

 水書用筆を用いたからといってすぐに上手になるわけではありません。

 しかし、後々漢方薬のようにじわじわと効いてきます。この水書用筆の指導が上手くいくと、文字を書くことが苦手なお子様も円滑に毛筆や硬筆の活動に移れるようです。

 文部科学省が水書用筆を低学年に導入決定した経緯やその後の指導の状況、指導の変化を私たち専門家はよく研究する必要があります。

 なお、お子様が書字に関する障がいを抱えておられる場合は、保護者の方のご理解とご協力を得ながら、個別の対応を取らせていただき、お子様が安心して文字を書けるようサポートいたします。

水書用筆を使った子供たちの様子は?

お子様の様子を見ていると、 

 いくらでも失敗していい・・・安心感

 間違えてもすぐに消える・・・次も書いてみようという意欲に

 何度もなおせる ・・・・・・もっと上手に書こうという意欲に

 用紙で色が変わる ・・・・・楽しく関心が高まる

 指でも書ける  ・・・・・・小筆タイプをまだ持てない子、幼稚園の子も楽しめる

等など、メリットが多いのが水書用筆です。

パート1 指を軽く立て、筆先て書く

初めての教室でお絵かき体験中!「なにをかいてもいいよ」と伝えると、先生の似顔絵を描き始めてくれました(^▽^)

「習字教室でしょ?」とお叱りを受けそうですが・・・。勿論お絵かきをするときにかける声の内容がポイントです。水書用筆を使えば上手になるわけではありません・・・。

パート2 水書用筆で書く練習

えんぴつを持っていた時よりも、人差し指や親指の添え方がとてもきれいになりました。自分の名前を軽いタッチで書いています。

*鉛筆を力を入れて持ち、強く書くお子さんをよく見かけます。必要以上に強く書く習慣がついてしまうと、持ち方に強い癖をつけてしまうことにつながりかねないので注意が必要です。

パート3 いよいよ水書筆に挑戦!

板よりも大きな水書用紙で思う存分お絵かき。

 この段階では、こちらから助言しなくても二人ともとてもきれいに指を添えて、軽く筆を動かしています。正しく持てるようになりました。当センターキャラクターに二人で名前も付けてくれました!(^^)! フェイスブックで紹介します(^^♪

鉛筆の他にどんな用具を使うのですか?

 鉛筆は、6B~10Bを使用 (主に1~3年生が使用します)

 筆圧が強すぎるお子さんには、柔らかく持っても書けることを実感してもらうために、筆圧の弱いお子さんには、無理に力を入れなくても濃い字が書けることを理解してもらうために使用します。また、毛筆のようなタッチで可能なので、筆圧をコントロールすると(力を抜くことを覚えると)、小筆で書いたような線が出せる楽しさも味わえます。

 筆ペン(金、銀、白他)

 今は、赤、青などの一般的な色の他にもお子様が楽しめる色が発売されています。七夕の短冊をみんなで作ったときは、毛筆で書ける子には、自由に色を選んでもらって作品を仕上げました。

 カラーペン、マーカー、色鉛筆他

 筆ペン以上に様々な種類のペンが販売されています。見ているだけでも楽しいくらいですが、色画用紙に書くとさらに楽しい作品ができあがります。

 ボールペン・万年筆 (主に4年生以上が使用します)

 4年生以上は、硬筆作品をボールペンか万年筆で仕上げます。持ち方がなかなか改善しないお子様には、万年筆で持ち方を練習してもらうこともあります。万年筆は、書く時の角度、向きが大切なのは、皆様ご承知の通りです。自分に向かって突き刺すような持ち方をするお子様や、強く握って垂直に近い持ち方をするお子様には、万年筆での練習を進めることもあります。また、強く押してしまうとインクが出過ぎたり、ペン先が割れてしまうので、柔らかい持ち方を意識してもらうのにも適しているように思います。

 高校生は今、万年筆で清書を仕上げることに取り組んでいます。 

↑ 当センターに通う高校一年生の硬筆課題清書作品。万年筆に挑戦中。書き味がとても気持ちよかったそうです。

普段どのように練習するのですか?

 1,2年生は、まず楽しく。様々な教具を用いた書写につながる遊びを通して毛筆や硬筆の楽しさを感じてもらえるよう工夫しております。

 整った字形となるポイントをお子様のアイデア・気づきを生かしながら、整ったひらがなや漢字の字形の秘密を主体的に見つけていくことを大切に指導します。ですから、こちらから「教える」というよりも、お子様から教えてもらうことの方が多いかもしれません。

 3年生以上では、自分のめあてに対してどんな点を工夫し変わったのかを、対話を通して成長を自覚できるよう支援します。また、周りの友達同士や他学年の子との対話を促し、

「今日のめあては~で、~がよくできた。つぎは~を工夫したい。」

等のように、書写の言葉で頑張りを説明したり、練習前後の自分の字と比較して良くなっている点を説明したりする場を設定します。年度初めで話し合いに慣れていないため、対話が成立するよう必ずそばで話し合いを聞き、助言していきます。そうしたやり取りの中で、美しく見える字の秘密を自分たちで見つける楽しさに気づかせていきます。

 「先生の手本をまねる」「先生から言われた通りに直す」。どれも大切なことです。ただ、それだけでは受け身の習慣を身につけてしまい、自ら考える習慣は身につきません。先生の手本通りにできない自分を否定的に捉えてしまう場合が出てくるかもしれません。

 もちろん、なかなか見つけられないときもありますし、話し合うことに慣れていない子もおります。その時は、こちらからヒントを与えたり、クイズを出したり、わざとバランスの崩れた字を手本に書いて比較するなど、できる限り「自分で見つけることができた!」と思ってもらえるような声かけを心がけています。

 その月の課題で自ら見つけた技を他の字でも生かせたとき、「なるほど」「他の字にも生かせる」となり、身につけた技や力を生かせる楽しさ、できる喜びを味わうことができると考えます。

 ↑七夕の願いを短冊に書く練習中。「魚」という字に何度もチャレンジ。こちらが言わずとも、

「先生、黒板に貼って横から見てみよう」

「どの字がいいかな?」

と自分から学びをどんどん進めます。こちらが追いつくのがやっとということもしばしば。願いがお空に届くといいですね。

練習の中の対話で何が変わるの?

 昔はいわゆる「おけいこ」が主流でした。先生の手本をまずまねる。自分で考えて何枚も書く中で、試行錯誤し、先生に見ていただき上達していく。そして、やがて自分なりの表現を見出していく。

 このような練習を大切にしながらも、その子がどのような課題を持ち、どう練習しようとしたのか、どの点が練習前よりも技能が深まったのか、その子の学ぶ過程を理解して支援する必要もあると考えます。そのためには、考えていることを書き込んだり、話し合いを通して学びを深めたり、ふりかえってみたりする場が必要です。

 その過程の中で、自分一人ではなく、友達と、先生と、異学年の子との多様な対話を通して学んだ時、さらに深い学び合いが生まれます。

「〇〇さんの字のいいところはね、・・」

「工夫できている点画は・・・」

「その右はらいは、どうやったら書けたの?」

「始筆は、筆の穂先を~すると字が力強くなるとおもうけど、どうかな。」

等、きき合う過程の中で、自分で、自分たちで学び取ろうとする力も高まります。

 書を探究する楽しさを感じ取ってもらえるよう、お子様の学年発達段階に応じつつ、「自分にきく(問いかける)」「友達(先生)にきく。」「友達の考えをきく」「分からないところをきく)」等、きき合い、伝え合うことを大切にしながら取り組みます。

 個別教室のお子様もおられるので、そのような場合は、教師が友達の代わりとなってお子様との対話を生み出します。

 一方で、じっくりと書きながら自分と向き合うことが好きで通って来られるお子さんもおります。友達と話し合うよりも自分と対話すること、無心になれる時間を大切にしているお子さんです。自分と向き合う時間を大切にできるよう、お子様と進め方を相談しながら声かけするなど、お子様に応じた対応をさせていただきます。

↑お互いの硬筆作品を見合いながら、友達の作品でよくできたところを付箋に書き、紹介し合っている場面。

 時間があるときは、最後にふりかえりを言葉で書き、学びを自覚させ、次の活動につなげていきます。

気づいたことを書き込むより、

何枚も練習した方が上達するのでは?


 新しい課題の一回目は、じっくりと手本を見る、研究する時間に充てます。いつでも書き込むわけではありません。一回目から先生が手取り足取り指導することで、その課題は短期間で上達するかもしれませんが、同じ要素を持った他の字も書けるようになっているかというとそうとも言い切れません。まず、自分で見つける、探究する時間が大切だと考えます。

 手本を見て、先生の運筆を見て、自分が考えたことを言葉に書いて表現してみる目的は大きく3つです。

 

1 手本や運筆をじっくり見る習慣をつけるため

 何気なく見ていても、手本の大切なポイントは見えてきません。中心線に対して点画はどこに位置するのか、字形はどうか、長さ、太さなど、多様な視点から学年の発達段階に応じて思考させます。そういったことを重ねる中で、手本の大切なポイントを見抜ける眼も培っていってほしいと思います。

2 本人が頑張るポイントを自覚するため

 書いたポイントやめあては、書き込むことで自覚できます。見いだせないときは、良い字を書くための視点をこちらから提示し、自分で発見できるように支援します。

 書き込みをした後、ほかの字にも活用できる書き込みがあるかも気を付けてみています。

 また、先生や友達に説明する際、「ここ」「そこ」と表現する子が多いようですが、「横画」「まがり」「おれ」等の書写の言葉を適切に使えるよう支援します。

3 週ごとの練習の深まりを自覚化、見える化するため

 前の週の自分の作品と比較して何ができるようになり、何ができていないのか、書き込みを重ねることで学びの深まりが生まれます。すぐに字に直結するわけではありませんが、その週、その週のめあてを書き込むことにより、前の週に気をつけて練習したことを今週もがんばろうという気持ちにもなります。自分の中での成長、深まりを自覚できるようにします。たくさん書き込んだ中で、特に大切なポイントはどこか、次第に見えてくるようになると大きな成長につながります。

 言葉だけでなく、図やイラストも取り入れる子が出てきていますが、とても良いことです。それを見ていると、この子は書写を算数だと思って取り組んでいるんじゃないかと思うときがあります。それもまた正解だと思いますし、その方が作業も速く、ポイントを的確に、要点を捉えて観る力が育つのではないかと思います。ぱっと見て、ポイントが分かる書き込みが自分にとっての見える化につながります。

 人間は忘れる生き物です。先生に言われたことを忘れることがあっても、自分で考えて書いたこと、主体的に学んだことは心に残ります。それをメモしておくことで、自分のふりかえりにもつながります。

+1 指導者としての気づき

 さらに、指導者にとっても学びになります。書いた清書だけを見て、よくできたところ、できていないところを見つけて本人に伝えるのは簡単なことです。しかし、たとえ前と比較してできていないとしても、どこをどのように本人が工夫しようとしたのか、向上しようとしていたのか、書き込んだポイントを一緒に話し合い、見ていたことでその子の努力が見えてきます。

 改善できていないときは、どこで困っているのか、悩んでいるのか問いかけることもできます。

 考えたことを書いてもらうのは、本人だけでなく、わたしたち指導者への気づきを促すためであるともいえます。

↑上の写真は、当センターに通っている高校1年生が、4年前の小学6年生の時に手本に気づいたことを書き込んだシート。

 「大」の字の美しいポイントを自分で発見し、説明できるようになれば、「天」「犬」「人」「秋」等様々な字に応用できることでしょう。

 小学6年生だったこのお子さんは、4年たった現在、古典にも挑戦中です。

↑現在通っている中学3年生が、6年生の頃に書いたもの。自分なりに工夫したいポイントを書き込んでいます。図にして考えることも字形のポイントを捉えるにはよい方法です。

↓1時間の学びの変化

※3年生(当センターに通われてから約半年のお子さん)  

 普段は、5枚、10枚と書くこともあるのですが、今日は1時間で3枚だけに限定。

 1枚書いた後に、手本と自分の字を比較し、手本にポイントを書き込み、課題を見つけました。

 その後、たった2枚でもしっかりと変化、成長していることが伺えます。

 私からは3枚目を書く前に、「大」の三画目、「始筆はどこから始まるか?」というクイズを出しました。

 「大」の左はらいの流れ(線質や二画目との接し方)に変化が見えます。

1枚目

今月の課題「大豆」手本だけを見て初めて書いた作品。本人はもやもやしていました。本人は、左右のはらいや口の形が気になるようです。

※ 手本は、下頁の学生部手本参照

2枚目


書き込みをした後の作品。

画の長さ、太さ、大きさ、字形、中心の取り方の5つの視点を与え、手本に気づいたことを書きこみます。

 その後、気づいたことをアウトプットしてもらい、2枚目を書きました。本人は、「豆」の5画目の点と6画目の接し方が気になったようです。

3枚目


 今日は、2枚で終わる計画でしたが、「もう一枚書きたい」という本人の希望から3枚目に挑戦。

 5画目の点が見事に改善でき、うれしそうでした。点が良くなると同時に、最後の横画も自然と改善されました。「豆」の一画目の上がり方にも変化が見えます。よく変えられたなと感心しました。

 来週は、「大」の二画目の始筆と右払いの向き、「豆」の口の部分の画どうしの接し方についての気づきを促します。

 まず自分の力で書いてみる。手本とじっくり向き合って言葉にして書いてみる。

 美しい字の秘密はどこに隠されているのか、見つけたときはとてもうれしいものです。友達同士で見つけられれば、自分たちで協力して見つけたことにも自信を持つことでしょう。

 年間の中に計画的に言葉にして表現する時間、じっくりと手本や自分の作品を分析する時間を設けることで、普段の練習の質も次第に向上していきます。

教室に掲示している作品は?

 1週目に書いた自分の作品と常に比べながら、自分の成長を自覚できるよう教室環境を整えています。

「前と比べてどこがよくなったかな」

「つぎこそ、先週の自分の作品を超えるぞ」

そんな成長しようとする姿を期待しています。

前の週に書いた作品と今日書いた作品を比べながら進めるよう促していきます。

↑お子様が学習するすぐ横の教室壁面に、1週目に書いた作品を掲示します。いつでも先週の自分の作品と比較できるようにしています。自分との対話を促します。

↑ 前の週の作品と対話しているところです。自分の良くなったところをまず友達に伝え、友達からも良い所を教えてもらいます。一画目の点の向きが良くなりました。また、「火」の三画目の払う向きが、四画目につながるように変化しています。左はらいの線質や始筆の位置も変化し、字に元気が出ました。「山」は、二、三角目の長さ、向きに変化、努力の跡が伺えます。二週目の学びですが、とても良い作品です。次週は、「山」の二画目の折れについて支援を進めます。

↑練習を重ねるごとに、どこがどのように上達しているのか、成長を自覚できるよう促します。

↑6年生に下級生へのアドバイスをお願いしました。いくつも良い所を見つけて伝えていました。さすが6年生。いい所を次々に見つけています。二人とも寄り添うようにして話しているところが、いいなあと感じました。

上級生と下級生が話すメリットは?

 数えきれないほどの様々なメリットが考えられます。ここでは語り切れませんが、同学年以上に異学年同士が「きき合う」ことにより、様々な学び合いが生まれます。

 下級生と話す上級生の姿は、いつもの教室の姿とはいい意味でまるで別人になるときもあります。

普段は、もくもくと練習していることが多い子も、下級生に関わってもらうよう声掛けすると、「こんなに上手に小さな子の話をきける子だったのか」と驚くことがあります。また下級生の子も、「大人にはあまり話さなかったけど、お兄さんにはなんでも話せるんだな」等、大人のアドバイスよりも、子ども同士の学び合いは得るものが大きいと感じています。

 曜日や教室に来られる時間帯も異なり、初めて会った子同士という場面もありますが、このような姿を目の当たりにすると、お子様の可能性を拓いていきたいなと感じます。

 これからの時代を生き抜く子どもたちは、社会に出てからは性別、年齢差、国籍等関係なく、互いに関わり合いながら直面する問題を解決していかなければなりません。

 書写という限られた分野ではありますが、この書写の学びを通して様々な力を育てることができますし、書写の技能向上を図りながらも、書写の技能を上げるためだけの教室であってはならないとも考えています。

↑子ども同士関わり合い、伝え合うことで学びの楽しさを生み出していきます。こちらは初めて教室に来てくれた1年生ですが、とても熱心にお姉さんのお話を聞いてくれていました。

 初めての書との出会いに当センターを選んでいただいたことに心より感謝しております。

 私たち指導する者だけでなく、先輩のみんなが応援しています。

↑高校3年生と小学2年生が学び合っている場面。この日初めて教室を訪ねてきてくれた2年生と、低学年の頃から当センターに通っている高校生が共に学び合った瞬間。

 「う」のどこがいいのか伝えていましたが、初めての子に対してどんな言葉をかければよいか、何を伝えれば良いかと自分の作品以上に考えたことでしょう。

 これもまたすばらしい学び合いの場なのだと思います。高校生が書く花丸が私たちよりもていねいで上手なのに感動!(^_^)。

 2年生の子は、もちろん大喜びでした。

↑こちらは、中学生3年生が2年生の相談に乗ってくれている場面。「どこを工夫したいの?」「たとえばぼくだったら、こんな風にしたんだけどどう?」と、小さい子の思いもききながら、言葉を適切に選んでいました。

 場を盛り上げながら、素晴らしい伝え方をしていました。一番勉強になるのは、分からないことを聞いた子ではなく、聞かれてアドバイスする子の方かもしれません。他学年同士で学び合うことで互いの伝え合おうとする表現力も育っていきます。

 上の写真を見て上級生が下級生に寄り添っていることがおわかりでしょうか。体が自然と下級生に寄っています。

「話をきこう」「伝えたい」「理解してもらえるかな?」という意思が二人の姿から感じられます。

 この日初めて出会った子でも、書道を通して自然とつながることに感動を覚えた瞬間でもありました。

 自分がこれまで幼いころから学んできた知識と技を総動員しながら、小さい子にとって一番わかりやすい適切な書写の言葉を用いる。言葉だけではなく、書いて伝える。関わり合うことは、書写の力を一気に伸ばす瞬間でもあるように感じています。

 ※関わり合えていない、対話できていないときは体は近づいていきません。大人の支援が必要な場面です。

小作品を作るより半紙に書いた方が力になるのでは?

 年間の中に小作品を作ることも位置付けています(毎月ではありません。背丈以上に大きな作品にも取り組みます)。

 鉛筆や毛筆以外にも、ペンやカラー筆ペン、大筆等を用いて、生活に生かす小作品作り書を楽しむ体験機会を設定します。

 書道とは関係ないと思われる方もおられるかもしれません。遊びになってしまわないのか?と疑問をお持ちになるかもしれません。ただ、よく考えてみれば毛筆や硬筆で学んだことを学校や生活の中で生かせるようになることが、書道教室に求められる最も大きな目標の一つでもあるはずです。

 小作品作りが硬筆や毛筆の力を育てないということは決してありません

 逆に書いていただければお分かりかと思いますが、半紙やペン字の規定用紙に書くよりも実は難しいのです。

 学校や生活の中では、様々な大きさの用紙、筆記用具を用います。それぞれのシーンに合わせて書写の技を発揮することが求められます。はがきや封筒、熨斗紙などはその典型です。いつものような枠はありません。大きさを考えて一発勝負です。

 例えば短冊であれば、一行で書くのか二行で書くのか、文字の大きさや中心のとり方を自分で判断しなければなりません。丁寧で整った字を書けるだけではなく、枠の大きさや筆記具の特徴を生かしたり、漢字と平仮名の大きさ、字間、余白を調整したりして見ていただく相手を意識して表現することも求められます。

 野球に例えるなら、半紙や硬筆の規定用紙に書く清書が「練習」で、様々な小作品や大きな作品に挑戦することは「試合

」です。

 内容的には、高学年の書写の目標なのですが、教師側が補助することで低学年のころから様々な小作品に触れてもらいたいと考えます。

 カードや飾りを作る際は、お子様の学年や技能に応じて作る前にしっかりと書写技能を指導します。

 さらに、多様な筆記具を生かした手書きの楽しさ、清書し学んだことを生かすことのできる喜び、渡した相手や見て下さった方から喜ばれた時の達成感等、手書きの作品作りを通して心温める多様な経験ができるようサポートいたします。


↑5月は七夕飾り作りをみんなで楽しみました。3つのお願い事を書きました。1つは自分。一つは家族。そしてもう一つは、見知らぬ誰かに向けて。この子は、地球の動物について関心を寄せていました。七夕と言えば自分の願い事を書くだけかもしれませんが、利他の心も育んでいってほしいと当センターでは願っています。

↑上の写真は、4月に高校生と小学生が一緒になって楽しみながらメッセージカードを作っていた場面。普段は、別々の曜日の子なのですが、「どうやって作ったらいいの」「だれに書いてるの?」「私の名前は~。あなたのお名前も教えて」等、初めて会った子達でも作品作りを通して交流が生まれます。上級生が上手にコミュニケーションを促してくれていました。

教室に展示してあるものは?

↑初代羽山会長の書、著名な書家の方の書、庄内の画家今井繁三郎氏の絵画、お子様の力のこもった作品など、美術環境も整えております。


 著名な書道家や地域の画家の皆様の作品、会員の皆様の作品を展示しております。当教室創設者の羽山先生の作品も随時展示しております。


 現代は、いわゆるパソコンで作られた文字、印刷物や看板、テレビ、本、新聞、広告であふれています。

 一方で、美しい手書きで印刷された本や文字を探すことは、なかなか難しい時代。

 昔と違い、今の子どもたちはあこがれを持てる手書き文字に触れる機会は徐々に少なくなっているように感じます。

 「きれいな字だな」「こんな字を書けたらなあ」と思ってもらえる手書き文字を、子どもたちは一日の生活の中で何回見ることができているでしょうか。

 美的感性が培われる小さい時期にこそ、何度も何度も繰り返し目にしてほしいものです。

 お子様の文字に対する感性を刺激し、生活の中でもよい字を書きたいと思う心情を育むことにつながると考えます。

 当センターでは、教室に来てくれるお子様に「わたしもそんな風に書いてみたい!」とあこがれを持ってもらえるような文字を、そして教室環境を整えております。

 子どもたちの清書作品に加え、大人の会員の方の清書作品や初代会長である羽山先生はじめ書道界の著名な先生の書、さらには庄内の画家である今井繁三郎氏の絵画、吉野弘氏の詩などが常時展示され、書や芸術に対する感性を高めます。

<公募>春秋書道展とは?

↑(上)文部科学大臣賞を受賞した高校生の書(R2)        (下)力作が並ぶ当センター主催公募春秋書道展開催の様子 

   


 当センターが主催する公募春秋書道展は、日頃の練習成果発表の場として54年に渡り開催されております。

 

 地域の書道文化発展のため、庄内地域はもとより県内各地の書道団体や塾を問わず公募とし、多くの皆様よりご応募いただき親しまれて参りました。


 園児から高校生までの学生の皆さんが、硬筆、半紙、条幅作品600点近い作品を発表できる展覧会は、酒田地区で当センターが企画運営するこの春秋展だけです。


 また、当公募展は諸先輩の皆様の長年の実績が認められ、最高賞の文部科学大臣賞、春秋賞をはじめとし、山形県・酒田市・鶴岡市・同教育委員会様、県内企業各社の皆様、協会の皆様から賞を授与していただける(※)貴重な公募展でもあります。

 この展覧会のために、一年間頑張って練習しているお子さんもおられます。技と技の勝負ですが、日ごろの半紙での練習が大きな紙でも生きてきます。逆に半紙でふだん直せていない課題は、大きな紙になってもそのまま大きく表れます。

 毎月の競書を丁寧に、自分のできるようになった技を確認しながら取り組んでほしいと願っています。


※ 長年に渡りご支援をいただいている皆様には、心より感謝申し上げます


文部科学大臣賞、春秋賞、山形県知事賞、酒田市長賞、鶴岡市長賞、県教育委員会賞、酒田教育委員会賞、鶴岡教育委員会賞、山形美術館賞、県芸術文化協会賞、酒田市芸術文化協会賞、本間美術館賞、致道博物館賞、毎日新聞社山形支局賞、読売新聞東京本社山形支局賞、産経新聞山形支局賞、株式会社山形新聞社賞、山形放送株式会社賞、さくらんぼテレビジョン賞、荘内日報社賞、コミュニティ新聞社賞、羽黒芸術の森今井アートギャラリー賞、酒田商工会議所賞、株式会社ブルー書の庵賞、書道教育センター賞



  段級審査と検定試験の違いは?

段級審査は毎月。結果は書道教育誌に掲載。

検定試験は6月と2月で認定証が出ます。

◆段級取得(毎月)


 学生部は、「書道教育」誌の月別課題に毎週取り組みます。

 硬筆・毛筆共に競書(段級審査)に出し、段級を取得することができます。

 お子様が上達を実感し、励みとなるようサポートしております。

 お子様のがんばりの結果が、各月の「書道教育」誌段級審査結果に掲載され、次の意欲へとつながります。


 級は10級から始まり、練習次第で初段、さらに、10段、特待生、優待生、招待生にと昇段していきます。

 小学校から中学校、高校へ進学するときは、中学部や高校の10級からスタートします。

 ※実力に応じて、9,8、7級から始まるときもあります。



◆検定試験(年2回)


 年2回(春、冬)の「検定試験」を行い(課題は毎月の課題と同じですが、特に練習、指導に力を入れています)、全員に段級認定賞状を渡します。上位の特待生、優待性、招待生になると長年の継続と努力を讃え、記念の楯をおくります。

学生コースの「毛筆、硬筆各月手本(例)」

1ねんせい

2年生

3年生

4年生

5年生

6年生

中学生

高校生

1ねんせい

2年生

3年生

4年生

5年生

6年生

中学生

高校生